実は、高校生の頃。
私には、ひとつの夢がありました。
「いつか絵本を書きたい」
少しだけ、自分で書いていたこともあります。
でも、それはずっと昔のこと。
大人になり、仕事をして、日々を過ごすうちに、
「本を書く」という夢は、いつの間にか遠いところへ。
ましてや、
ハーブティーの本を書く。
そんな未来は、想像もしていませんでした。
そんな私が、
「よし、私も本を書こう」
と思ったきっかけは、ちょっと不思議な出来事でした。
ある年の1月末。
400名ほどが参加する、本田健さんのセミナーでのこと。
会場で、ひとりの方が質問をしました。
大勢の参加者がいるので、その人の顔は見えません。
ところが、質問を聞いているうちに、
「え?」
となりました。
その人が話していることが、その頃の私が抱えていた、
「これ、どうしたらいいんだろう」
という状況と、ほとんど同じだったのです。
そして、その質問に対する健さんの答えが、
「それだったら、本を書くのが一番いい」
本!!!
その瞬間、
「よし、私も本を書こう」
なぜか、そう思ったのです。
……安易に(笑)。
「本を書きたい」と言ってみたら
幸い、学生時代からの友人に編集者がいました。
それなら、話を聞いてもらおう。
そんな軽い気持ちで、
「私、本を書きたいんだけど」
と話してみることに。
ところが。
普段はとっても温和なその友人が、
急に厳しくなったのです。
うえ〜。
軽はずみに「本を書きたい」なんて言っちゃったよ……。
すっかり、たじたじ(笑)。
でも、その友人とのやりとりをきっかけに、ひとつ考えるようになりました。
「私が書きたい本って、本屋さんのどこに並ぶんだろう?」
それからは、しょっちゅう本屋さんへ。
自分が書きたい本に近いものは、どこにある?
どんなタイトル?
どんな内容?
どんな人が読む?
それまで読者として歩いていた本屋さんを、少し違う目で見るようになっていきます。
そして、キーマンが現れた
そんな頃、私の思いを形にするために、たくさんのアドバイスをしてくれる人が現れます。
そして3月末。
その方に誘われて、編集者さんたちが参加する食事会へ。
一応、企画書も持参。
そして二次会。
ひとりの編集者さんが、私の企画書を見てくれることになりました。
……とはいえ。
今振り返れば、
その企画書、ほぼいいところなし(笑)。
ところが編集者さんから、こんな質問が。
「100のお悩みを助ける、100のハーブティーブレンドレシピって作れます?」
私は、
「はい、作れますけど」
と、自信満々。
そこは迷わない(笑)。
すると、
「じゃあ、作ってみてください。3週間くらいでできますか?」
「はい」
心の中では、
できますとも!
くらいの勢いです(笑)。
だって私は、それまでに、おいしいハーブティーをつくりたくて、何度も何度もブレンドを試してきました。
味や香りの組み合わせを、頭の中でもイメージできるようになっていた頃。
100レシピ。
できる。
そこには、不思議なくらい迷いがありませんでした。
そして家に帰って、さっそく作り始めます。
3週間と言われていた100レシピは――
1週間ほどで、できてしまいました。
ところが。
できたのに、連絡しない私(笑)。
しばらくして、編集者さんから、
「どうなった?」
と連絡が。
「あ、できてますけど」
すると、
「なんで連絡しないの?」
と叱られました。
だって私としては、
「え? あのときの話、本当に続いてたの?」
くらいの感覚だったのです(笑)。
ところが、どうやら本当に続いていたらしい。
そこから打ち合わせの日程が決まり、話はどんどん進んでいきました。
そして5月。
出版決定。
「本!!!」から、9か月
振り返ってみると、
1月末。
顔も見えない誰かの質問を聞いて、
「本!!! 私も書こう」
と思った。
3月末。
編集者さんから、
「100レシピ、作れます?」
と聞かれた。
5月。
出版決定。
そして10月。
私の最初の本、
『お悩み別 こころとからだを癒すレシピ ハーブティーブレンド100』
が、本屋さんに並びました。
「本を書こう」と思ってから、
わずか9か月。
あの二次会で編集者さんから言われた、
「100のお悩みを助ける、100のハーブティーブレンドレシピ」
が、
ほぼ、そのまま本になったのです(笑)。
でも今振り返ると、突然、何もないところから本が生まれたわけではなかったのだと思います。
高校生の頃、
「いつか絵本を書きたい」
と思っていたこと。
紅茶に夢中になって、本を貪るように読んだこと。
その本を書いた人に会いに、ロンドンまで行ったこと。
おいしいハーブティーをつくりたくて、数えきれないほどブレンドしたこと。
教室で、たくさんの人にお茶のことを伝えてきたこと。
そのときには何の関係もないように見えたことが、
ある日、
一本の線になる。
あのセミナーで、顔も見えない誰かが質問をしなかったら。
その質問が、たまたま私の悩みと重なっていなかったら。
編集者の友人が、あんなに厳しく話してくれなかったら。
食事会に誘ってくれる人が現れなかったら。
そして、
「100レシピ、作れます?」
と聞かれなかったら。
きっと、違う道になっていたでしょう。
でも、チャンスがやってきたとき、
「はい、できます」
と言えるだけのものは、もう私の中にあった。
人生の伏線って、
そのときには伏線だとわからないものなのかもしれません。
高校生の頃に小さく思い描いた、
「本を書きたい」
という夢も。
もしかしたら、ずっと消えずに、
私の中にあったのかもしれません。
そして、このときの私はまだ知りません。
次に書く本では、
ハーブティーのレシピだけではなく、
一杯のお茶と、心のこと
を書くことになるなんて。









