紅茶教室を始め、
大好きな紅茶のことを伝える毎日。
そんな私のお茶の世界に、
もうひとつのお茶が加わることになりました。
ハーブティーです。
きっかけは、夫の鬱。
夫は病院に通い、薬を飲んでいました。
よくなりたいと、いろいろなことを試しては、うまくいかない。
そんなことを何度も繰り返していた頃。
薬の量も、少しずつ増えていきました。
そしてあるとき、医師から、
肝臓の数値を考えると、
これ以上は薬を増やせない。
そう言われたのです。
え!!!
なんか変。
おかしい。
よくなるために飲んでいる薬が、
別のところに負担をかけてしまう。
そんなことって!!!
どうしたらいいのかわからない。
でも、やりどころのない怒りが、
むくむくと湧いてきちゃいました。
だったら、
ほかに何かできることはないの?
そこから、私も探し始めました。
そして目に留まったのが、
ハーブ。
考えてみれば、私はすでに紅茶教室をしています。
ティーポットもある。
カップもある。
お茶を淹れる道具は、全部ある。
ということは、
ハーブさえあれば、すぐにできる。
やってみよう。
そうして、夫にハーブティーを淹れるようになったのです。
「お風呂に入っているみたい」
ハーブティーを飲み始めた頃、
夫がこんな風に伝えてきました。
「お風呂に入っているときと、同じような感じがする」
それを聞いて、
あ、なんかいい。
と思ったのを覚えています。
身体の力が抜けて、
ほっとするような感覚だったのでしょうか。
それなら、続けてみよう。
そう思いました。
その後、治療を続けていく中で、
夫の肝臓の数値は少しずつ下がり、薬の量も減っていきました。
やがて薬をやめることができ、
今は自分なりに上手につきあっているように見えます。
もちろん、これは夫個人の経過であって、
ハーブティーだけによるものだったのかはわかりません。
でも、その過程をそばで見ていた私は、
「ハーブって、いったい何なんだろう?」
と、どんどん興味を持つようになりました。
私は、薬について、
「こっちにはよくても、あっちには負担がかかるって、どういうこと?」
と怒っていました。
でも、ハーブのことを学んでいくうちに、
私には、植物が一部分だけではなく、
人をもっと全体として見ているように感じられたのです。
ハーブは、全体的に癒やしていくものなのかもしれない。
その感覚が、
私をハーブの世界へどんどん引き込んでいきました。
でも、おいしくない。
ところが。
大きな問題がひとつ。
ハーブティーが、あまりおいしく感じられなかったのです。
私は、紅茶が大好き。
ルール通りに淹れた紅茶は、
香りもよくて、本当においしい。
それに比べると、当時の私にとってハーブティーは、
「身体のために、おいしくなくても飲むもの」
という感じでした。
でも、
それって、なんだかつまらない。
せっかく毎日飲むなら、
「身体のために、おいしくなくても飲む」
から、
「おいしいから、飲みたい」
に変えたい。
だったら、
おいしいハーブティーをつくればいい。
そこから、私のブレンド実験が始まりました。
ハーブとハーブを組み合わせる。
分量を変える。
抽出時間を変える。
飲んでみる。
違う。
もう少しこっち。
じゃあ、このハーブを減らして、
こっちを少し増やしたら?
また淹れてみる。
そんなことを、
何度も何度も繰り返しました。
とにかく、
たくさん、たくさんブレンドしました。
そして少しずつ、
「ハーブティーって、こんなにおいしくできるんだ」
という味にたどり着いていきました。
頭の中で、味をつくる
この頃は自分でも気づいていなかったのですが、
あとになって、
どうやら私は、ブレンドすることに少し特殊な得意があるらしい、とわかりました。
一度味わったハーブの味や香りを、
覚えてしまうのです。
だから、
「あれをこのくらい、こっちをこのくらいの比率にする?」
「パンチが弱いからこれを少し加えてみる?」
「抽出時間を変えたら、どうなる?」
そんなことを考えると、
実際に淹れる前に、
頭の中である程度ブレンドができてしまう。
味や香りを思い出して、
脳内で組み合わせることができるのです。
当時は、それが特別なことだなんて思っていませんでした。
ただ、
おいしくしたかった。
そして、おもしろかった。
だから、ひたすら試していました。
こうして私のお茶の世界には、
大好きな紅茶のとなりに、
「おいしいから飲みたい」と思えるハーブティー
が加わりました。
紅茶は、相変わらず大好き。
そこへ、
もうひとつ夢中になれるお茶が増えた。
だから、
紅茶から、さらにハーブティーへ。
だったのです。
その頃の私は、
ただ、おいしい一杯をつくりたくて、
夢中でブレンドしていました。
まさか、その積み重ねが、
100のお悩みに、100のハーブティーブレンド。
一冊の本になるなんて。
もちろん、まだ知りませんでした。












