今では、お茶の仕事をしている私ですが、
最初から「お茶の仕事をしよう」と思っていたわけではありません。
そもそもの始まりは、
「人とつながれる場所がほしい」
という、とても個人的な思いでした。
当時の私は、子どもがいなかったこともあって、
ご近所とのお付き合いは、まったくありませんでした。
何かのコミュニティに所属しているわけでもなく、
ぼっちで、つまらないと感じていた毎日。
だったら、
自分でコミュニティをつくればいいんじゃない?
そう思ったのです。
そして、なぜか思いついたのが、
「ドッグカフェをやりたい!」
でした。
ちなみにその頃の私は、
犬を飼っていません。
完全なる妄想です(笑)。
でも、思いついたらけっこう本気。
カフェを開くための勉強をしようと、カフェ塾に通い始めました。
カフェメニューのこと。
事業計画書のこと。
家でも、カフェに出せそうなレシピづくりに奮闘。
勝手に
「みかふぇ」
なんて名前までつけて、カフェごはんな毎日を送っていました^^
頭の中では、すっかりカフェのオーナーです。
そんなある日。
またまた夫の登場です。
「カフェのご飯はいいけど、コーヒーとか紅茶って、上手に淹れられるの?」
え?
コーヒーは……マシンが淹れるでしょ。
紅茶は……。
いつもやっているように、ティーバッグで……?
そこで初めて、
「あれ? 私、紅茶のこと何にも知らないかも」
と気づきました。
それなら、ちょっと習ってみよう。
そんな軽い気持ちで、紅茶教室に通い始めました。
ところが。
これが、ものすごくおもしろかった。
茶葉の違い。
産地の違い。
淹れ方によって変わる香りや味。
今までまったく知らなかった世界に触れるたび、
「へえー!」
「おもしろい!」
の連続。
知れば知るほど、もっと知りたくなる。
私は、すっかり紅茶の世界にハマってしまいました。
気づけば、夫にも周りの人にも紅茶の話ばかり。
今思えば、夫は相当うんざりしていたかもしれません(笑)。
そんな頃、私はいよいよカフェを開こうと、物件まで探し始めていました。
そして、2011年3月11日。
東日本大震災が起こりました。
計画停電が始まり、それまで当たり前だった日常が大きく変わりました。
そのとき私は、
もし、目星をつけていたあの物件を借りていたら。
借金をして、カフェをオープンしていたら。
いったい、どうなっていたんだろう。
そう考えると怖くなってしまい、
カフェを開くという夢から、いったん動けなくなりました。
そんな私に、母が言ったことがあります。
「あなたは、お客様商売より、教えるほうが向いているんじゃない?」
そのときの私は、
「えー、そうかなぁ」
と、ちょっと反発していました(笑)。
でも、しばらくして。
「今の私にできることって、なんだろう?」
と考えるようになりました。
アロマ?
それとも……。
紅茶!!!
そして、ふと気づいたのです。
そもそも私がカフェをやりたかったのは、
カフェそのものが欲しかったからではありませんでした。
人とつながれる場所がほしかった。
人が集まるコミュニティをつくりたかった。
だったら、それはカフェじゃなくてもできる。
紅茶教室なら、大きな初期投資もいらない。
そして何より、今の私は、
紅茶のことを話したくて仕方がない(笑)。
「あ、これはすぐにでもできる!」
そう思ったら、急にワクワクしてきました。
カフェを諦めて別の道を選んだ、というより、
本当にやりたかったことはそのままに、
もっと自分がワクワクする方法を見つけた。
そんな感覚でした。
こうして私は、ドッグカフェの夢からくるっと方向を変えて、
紅茶教室を始めることになりました。
そして、実際に教室を始めてみたら。
そこに来てくださるのは当然、
「紅茶のことを知りたい人」ばかり。
これが、もう最高でした(笑)。
好きなだけ紅茶の話をしても、誰も迷惑そうな顔をしない。
むしろ、
「もっと知りたい」
と聞いてくれる。
ああ、こんな場所があったんだ。
そう思いました。
今になって振り返ると、少し不思議です。
私は最初から、紅茶教室をつくりたかったわけではありません。
ハーブティーの専門家になろうと思っていたわけでもありません。
ただ、
人とつながれる場所をつくりたかった。
それが始まりでした。
犬もいないのに思い描いていたドッグカフェは、
結局つくりませんでした。
でも、
人がお茶を囲み、出会い、つながっていく場所。
それは形を変えながら、
ずっとつくり続けてきたのかもしれません。
一杯のお茶から始まることは、
案外、自分が思っているより大きい。
私の No Tea, No Life. は、
どうやらこのあたりから始まったようです。
しばたみかとお茶の出会い












